ヘッドハンティング最前線~現役ヘッドハンターが語る~

採用難がもたらす機会損失~採用の成否が企業存続を左右する~

2018年02月02日
担当
榎本 樹朗

かつて採用とは新卒採用を意味しており、彼ら彼女らが戦力となる10年後の未来を見据えてものであり、その成否がただちに事業を左右することはなかった。近年は採用の意味合いも大きく変化しており必要なリソースを即時に調達する性質のものとなっている。採用の失敗が事業の失敗に直結する事例も散見されるようになってきた。事例を紹介しながら採用難とどのように向き合うべきかを考いきたい。

国内市場の縮小~生き残りをかけた海外進出をはかる住宅メーカー

新築住宅市場はこの20年で半分近くまでに縮小してしまった、かつて160万戸だったものがいまや90万戸である。住宅メーカー各社は戸建、集合住宅、マンション、オフィスと多角化でしのいできたがそれも限界が見えてきた。「土地活用」と銘打った集合住宅が乱立し一部では空室が目立ち始め国内市場の縮小は明確である。住宅メーカーの海外進出は事業拡大を担う成長施策ではなく生き残りのための重要施策になってしまった。

海外進出の成功のカギは経験者の存在 海外進出の成功には「経験」が不可欠である。日本とは異なる生活習慣を理解し、既に存在する異国の競合と戦っていかなくてはならない。実際にその国の市場を経験した人材の存在が命運を分ける。経験者の採用の成否は事業に大きなインパクトを与える重要事案となる。

 

ある住宅メーカーの事例を紹介したい。北米の現地法人の社長を担える人材の採用にまつわるエピソードである。社運をかけた採用とのことで経費もかけた、主要求人5サイトへ求人を掲載した。サイト上位に掲載、多くの登録者にスカウトメールを大量に送信した。しかし3か月が経過しても面接は1件も組むことができなかった。応募はあるものの部課長クラスの人材が中心でターゲットとするエグゼクティブクラス人材からの応募を獲得できなかった。

採用は長期化、海外進出は大きく遅れることとなった。過当競争の続く国内市場を主戦場とする同社はついに赤字に転落、数年後には競合先に買収されてしまった。同社が海外事業経験者の採用に成功していたら違った未来があったのではないか、そう考えさせるニュースであった。

3か月経過した時点で採用できない場合は採用活動自体を見直す必要があり

採用が難航する場合は待ちの姿勢では事態は好転しない。広告掲載を延長や追加の人材エージェントへの発注を行うが効果は上がらない。ターゲットとする人材はどこにいるか、その人材と接点を持つにはどのような採用手法が有効かを考えることが重要である。

今回の例ではターゲット人材へアプローチする採用手法がずれていたことにある。そもそもエグゼクティブクラスの人材は転職をためにWEB上の転職サイトに登録などはしない。エグゼクティブ層にアプローチをしたい場合は普段から彼らと接点をもっているハンティング会社に相談する必要があった。採用担当がいち早く見直しを行い、必要な手を打つことで事態は好転する。 採用の長期化がもたらすインパクトは小さくない。採用が難航した時は立ち止まって採用活動の見直しをしてみてはいかがだろうか。

採用が難航する代表的な原因とは

採用が難航する場合によくみられる原因を紹介して結びとしたい。採用が難航する原因は大きく2つのパターンに大別される。人材が「いない」「少ない」ことが原因であるケースと人材は「いる」が集まらない、口説けないケースである。貴社の採用が難航する原因がどちらのものであるかを認識すれば打つべき手は見えてくるはずである。

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